--困りませんでした?
姪っこにやっちまったよ。
--便せんを……。
いや、ロッカー。便せんのセットは自分で使った。とにかくだんだん大きくなるんだ。爪切りのようなモノから始まって太鼓のバチ、電気あんか、しまいにはガスタービン。局長クラスになると中元に発電機、歳暮に発電所かな。一期上の人なんか入省8年で海の上で石油の掘削に使う、あのなんだっけ……。ガレージに入んないって言って大きいのひとつ別に建てさせてた。
--内規に触れるなという認識はなかったんですか?
ないね。内規作ったヤツがH1ロケット贈られてんだよ。それで自分の娘の写真入れた衛星打ち上げやがっだ。
--貰っていちばんうれしかったのは?
女房だな(笑)。照れるなどうも。でもほんとだよ。担当してた業界のトップにアグネス・チャンみたいなのが好みだって話したら、香港の富豪の娘を連れて来ちゃってさ、さすがに断った。
--こればかりはご自分で。
違う、日本人と取り替えさせたんだ。チャンコロ嫌いだから俺。
--困ることもあるでしょう?
ああ、子どもが出来ないって分かったときは悩んだな。ある業者がベルギーだかにいいコネがあるっていうんで、女房と二人で考えて中元に貰うことにした。春から夏に生まれた赤ん坊の方が育てやすいだろ。金髪だよ、うちの長男は。
--公務員になって日が浅い人やこれから官僚を目指す若者にアドバイスするとしたら?
余り大きいものはもらわん方がいい。
--綱紀粛正が今まで以上に叫ばれるとおもいますが。
これから出世していく若い人は損した気持ちになるだろう。しかし、厳しい冬の後には必ず暖かい春が来る。盆暮れのつけ届けがまずいなら、バレンタインデーもある。サンジョルディーの日も。役人にとっては毎日がクリスマスだ。