第4回

<濃い、大人、幸せの3大原則>

アメリカ人の嗜好は独特だ。

日本人が結構好きなジルベール風「女のように美しいなよなよした美少年」はおしなべて受けが悪い(別にしゃれで言っているつもりはない)。

背が高くて体格ががっしりした<ゴージャスタイプ>がお好みなのである。
要するに日本でいう「美丈夫」タイプだ。彼女たちは、それを「受け」にも要求する。

だからなのか、体格のいいアダルトな「攻め」2人が主導権争いをする、なると真樹著『世紀末ダーリン』みたいな作品は大人気だ。そんな訳で、どちらかというと日本人には「やや暑苦しいかな?」と思われがちな『還らない夏』『FOUL』などの黒川あずさや『お得な恋愛獲得法』の西崎祥も、「体格がごりっぱ」な点で、あちらではとても好評なのである(まだ単行本は見たことないけど、多分「平ひろ」も好かれるんだろうなあ。早く出してほしいな〜)。

そして、当然ながら、ショタ(コン)ものは受けがよろしくない。というか「好きだ」と大きな声ではとても言えないらしい。(注文は来るが、「面白かった」という感想が来ない。でも注文は来る……)

児童ポルノ禁止先進国のアメリカゆえ、子どもの頃からPG13などで鍛えられ、Vチップの埋め込まれたテレビしか見られない環境で育てば、無理からぬことであろう。

「いたいけな子どもにこんなことやあんなことをして(それを読んで楽しむなんてもってのほかよ)」という倫理観のせいで、心から楽しめなくなってしまっているのだ。MLでもその手の話題は読んだことがない。いくら面白くても他人に話すまでは割り切れていないのである。でも<レイプものは好き>みたいなので、あくまでも「年齢」にこだわっているだけなのだが……。

人気がある作家としては、尾崎南、こだか和麻、新田祐克、七瀬かい、本仁戻、鹿野(初田)しうこなど、絵・ストーリーともに「濃い」作品を書く人があげられる。逆にあっさり系の藤たまき、依田沙江美、加藤冬紀、石田育絵なんかは、好きな人は好きだけれど、多くの人が読むというわけではないようだ。

「関西系の、ちょっとギャグがきいた、基本的にはハッピーな話」、これが一番ウケる。
要するにハリウッド・香港映画みたいなものがやおい漫画でも好きなのだ。分かりやす過ぎる〜。

大人の男が好きだと、当然、「リーマンもの」、「制服もの」が喜ばれるわけで、国会議員同志の恋愛を描いた芳崎せいむの『永田町一丁目七番地』や、丸の内OLならぬ丸の内サラリーマンが主人公の石田育絵著『新宿烏森口午後七時』などは好評だ。また、シークレットサービスが活躍する森本秀の『G・DEFEND』、紅井採乃の『君は僕に愛を突き刺す』などの組織もの・制服ものは圧倒的人気を誇る。となると「戦争もの」は無条件に当てはまってしまうわけで、しかも死と隣り合わせというシチュエーションは、たまらない魅力があるらしい。
たとえそれが<ナチもの>であっても、だ。いや、<ナチスもの>は、実はとっても人気なのである。茶屋町勝呂『赤の原遊戯』、紅井採乃『AVALON永遠の愛の島』 、石原理『38度線』などは、内容がどうあれ、あの制服が載っている表紙だけで買う。アメリカ人でもやっぱりあの制服は好きなのだ。子どもはダメでも、レイプやナチスはOK。そういうことなのである。

ノルマンディー上陸を戦った祖先の英雄たちは、さぞや墓の下で泣いていることだろう。合掌。
(次号へ続く)

[文:スラッシュ君 991228]

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